昨日の私の話を、骨格だけ取り出すと次の2点にまとめられます。
(1)ジェンダーニュートラリティを基本とする雇用機会均等法の原則と、ダイバーシティ(ジェンダーによる違い価値創造の源泉として使おうとするもの)は、原則レベルでの齟齬がある。それゆえ、「性別」をどう扱えばいいのか、そもそも職場でのコミュニケーションにおいて「性別」にどこまでどう言及していいのか悪いのかに関する、現場レベルでの混乱がある。これは、「女性」の「働きづらさ」といった問題状況につながっている可能性が高い。
(2)「女性ならでは」というジェンダー的差異を価値創造の原動力や組織改革の原動力にしていこうとする「ダイバーシティ推進」は、容易に現場レベルでの「好意的性差別」を引き起こす可能性があるから、その点に関して気をつけていく必要がある。
●「女性管理職割合を指標とするダイバーシティ推進=ネオリベ」というふうに、「ネオリベ」の意味をかなり限定的に特定したうえで議論を進め、それの良さと問題点とを論じました。このように「ネオリベ」の意味をかなり明瞭に特定しているので、先日の元森さん・加島さんコーディネートの関東社会学会テーマセッションで話題になっていた、ネオリベの「妖怪」問題は回避できていると、個人的には考えています。
●ジェンダー論はこういう形で、生産的・建設的な議論になるように工夫しながらネオリベ批判をしていくのは必要だし、とくにポストフェミニズム的には必須なところがあると考えています。
(*関東社会学会の…のあたりに関しては、後できちんと情報を補ってまとめ直します。)