ポストフェミニズムに関するブログ

ポストフェミニズムに関する基礎文献を紹介するブログ。時々(とくに大学の授業期間中は)ポスフェミに関する話題を書き綴ったり、高橋幸の研究ノート=備忘録になったりもします…!

ポストフェミニズム

ポスフェミ基礎文献:三浦玲一(2013)について

三浦玲一, 2013, 「ポストフェミニズムと第三派フェミニズムの可能性:『プリキュア』、『タイタニック』、AKB48」, 三浦玲一・早坂静編著『ジェンダーと「自由」:理論、リベラリズム、クイア』彩流社: 59-79. 1.「新しい左翼」の模索の延長線にあるポス…

ANTや新唯物論によって、社会学理論はどう更新されうるのか:その方向性について

1. 新唯物論とかANTとかをざっくり読みつつ思っているのだけれど、考えるべきは、これらを社会学に持ち込むことで、社会学理論はどう更新されるのか?だ。 例えば、主体/社会構造が循環的にお互いを構成しているというギデンズ流(構造化理論)の「主体/…

女性の男性に対する敵対的/好意的セクシズムについて

【論文紹介】阪井俊文, 2007, 「セクシズムと恋愛特性の関連性の検討」,『心理学研究』第78巻,第4号:390-397. セクシズムとは「人を性で区別すること」くらいの意味であり、性差別(sex discrimination)とは異なります。 敵対的セクシズムや好意的セクシズ…

2020年を迎える現在「女性の性的客体化」を私たちはどう論じていくべきなのか

「全ての女性が、性的客体化によって傷ついている」という言い方には、ちょっと無理がある。「性的客体化」という概念そのものをぶち上げて流通させるところから始めなければならなかった1970年代には、そういう言い方も戦略としてありだったが、現代ではも…

【論文紹介】「ガールパワーとチックリット」『ポストフェミニズム:文化的テキストと理論』([2009]2018)

Stéphanie Genz and Benjamin A. Brabon, 第1版 2009年、第2版 2018年,Postfeminism: Cultural Texts and Theories の(『ポストフェミニズム:文化的テキストと理論』)中の 第4章 "Girl Power and Chick Lit" (「ガールパワーとチックリット」)の要約翻…

【論文紹介】Sex is Power Scaleについて

Sex is Power Scale(SIPS)というのがありまして、これ重要な気がしています。詳しくいうと、「自分の性は力の源泉だ」(Self-sex is Power Scale(S-SIPS))と「女性一般の性は力の源泉だ」(Woman-sex is Power Scale(W-SIPS))の二つに分かれています…

【論文紹介】誰かの性的客体となることを通した女性たちの性的主体化について

Mindy J. Erchull & Miriam Liss, 2014, "The Object of One’s Desire: How Perceived Sexual Empowerment Through Objectification is Related to Sexual Outcomes", Sexuality & Culture 18:773–788 (=「誰かの性的客体となること:性的客体化を通した性…

好意的性差別について

性差別(sexism)には、「敵対的性差別」だけでなく「好意的性差別」もあるということを述べ、この二つを組み合わせた「両価性性差別尺度( Ambivalent Sexism Inventory、ASI)」を開発したのは、Peter Glick & Susan T. Fiske(1996)であります。 Peter G…

「ポストフェミニズム」と言うことの認識利得

(*単行本用の原稿として書いていたものですが、どこにも入らなくなってしまったので、ここにアップします。紙に印刷して本の形態で読む用の原稿であり、ブログ用の文体じゃないので、若干読みづらいかもですが、すいません) 「ポスト(post)」とは、基本…

フェミニズム原理の日本社会への浸透

例によって、或る原稿のために書いた文章ですが、全面カットすることにしたので、ここに掲載させてください。どこかで今後使う可能性もあるので、ここ間違っているよ、とか、ここの論理展開が変ではというのがあったら、指摘してもらえるとありがたいです。 …

【人の論文紹介】伝統的男性役割(5側面)/新しい男性役割(4側面)の心理学的解明

本日の日本女性学会のMLでも、男性役割についての議論が回ってきていますが、2010年代の男性性研究(社会学者の参加が多い)を見ていると、社会学内部だけではあまりにも語彙(分析概念)が不足していて、かゆいところに手が届かないなぁという気がしていま…

社会構築主義以降の社会記述法 ストラザーン『部分的つながり』に見るハラウェイの可能性について

今年の夏は海外出張もなく(=研究費が取得できていないということ(泣))、自宅時間がけっこうとれたので、読みたかった本をたくさん読めました。とっても幸せであります。夏休み一生続けばいいのに。と願ったところで続くわけでもないので、自分の中の区切…

【翻訳】Pamela Aronson 2003「フェミニストかそれともポストフェミニストか?フェミニズムとジェンダー関係に対する若い女性の態度」

Pamela Aronson , 2003, “Feminists Or “Postfeminists”?Young Women’s Attitudes toward Feminism and Gender Relations”, Gender & Society 17(6):903-922.(本文はインターネット公開されていないので、お近くの大学図書館で。) 高橋によるこの論文の簡…

【翻訳】Yang, G., 2016, 「ハッシュタグ・アクティビズムにおける語りの主体:#BlackLivesMatterのケース」

Yang, G. (2016). Narrative Agency in Hashtag Activism: The Case of #BlackLivesMatter. Media and Communication, 4 (4), 13-17. ( https://repository.upenn.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1500&context=asc_papers ) アブストラクト ハッシュタグ…

NHKがキズナアイを起用したことを批判するフェミニストを批判する女性たちにみる、ポスト・フェミニズム的態度の特徴2つ

いまさらですが、NHKキズナアイ問題に気づきました。遅すぎて、すいません。 このブログはポスト・フェミニズムをテーマとしているので、下記のまとめについて検討します。 togetter.com ポスト・フェミニストの最も簡潔な定義は、フェミニズムに違和感を示…

大塚英志の「少女フェミニズム」

(注記:愛妻家として知られていた江藤淳のDVの話が5.以降で出てきます。無理な人は読まないでください。) 『江藤淳と少女フェミニズム的戦後』(大塚英志、ちくま学芸文庫、[2001]2004) 江藤淳は「少女フェミニズム」的だというのが大塚のこの論考での主…

ポストフェミニズムとは――Ana Jordan(2016)の定義――

フェミニズム、アンチ・フェミニズム、ポスト・フェミニズムの違いを概念化してくれている論文を紹介します。 Ana Jordan, 2016, “Conceptualizing Backlash: (UK) Men's Rights Groups, Anti-Feminism, and Postfeminism”, Canadian Journal of Women and t…

YouGovによる「自称フェミニスト率」世論調査

today.yougov.com YouGovの調査は、毎年だいたい「あなたはフェミニストですか?」という問いに対してYes/No/Not Sureの3つで答えさせています。 その調査によると、2016年よりも2018年の方がアメリカ人のフェミニスト率は増えているという結果がでています…

アメリカのフェミニスト割合(2016年世論調査結果)

www.washingtonpost.com ワシントンポストとKaiser Family Foundationが行った国民世論調査によると、女性の60%、男性の33%がストロングフェミニストもしくはフェミニストと答えているらしい!多い! 日本で同様の調査がやられているのを見たことがないけ…

【翻訳】Gill, Rosalind, 2007, 「ポスト・フェミニズム・メディアカルチャー:感受性の要素」

ポスト・フェミニズムとかポピュラー・フェミニズムのあたりの研究だと、やっぱりカルスタをフェミニズムの立場から担ってきた大御所Angela McRobbie(1951-)がよく引かれるのですが、 次世代(60年代生まれ世代)の重要論者の一人は、Rosalind Gill(1963…

【翻訳】(Heywood 2005)ポスト・フェミニズムとは

Heywood, Leslie L., 2005, The Women's Movement Today: An Encyclopedia of Third-Wave Feminism, Greenwood.の「ポストフェミニズム」の項目(p.252)の翻訳 https://www.amazon.co.jp/Womens-Movement-Today-Encyclopedia-Third-wave/dp/0313331332/ref=…