ポストフェミニズムに関するブログ

ポストフェミニズムに関する基礎文献を紹介するブログ。時々(とくに大学の授業期間中は)ポスフェミに関する話題を書き綴ったり、高橋幸の研究ノート=備忘録になったりもします。『フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど :ポストフェミニズムと「女らしさ」のゆくえ』(晃洋書房、2020)、『離れていても家族』(亜紀書房、2023)、『恋愛社会学』(ナカニシヤ出版、2024)発売中。

新しい唯物論

結局のところ、新しいマテリアル・フェミニズムnew-materialism/ neo-materialismとは何なのかまとめ––関連文献紹介4

一つずつ文献を紹介しまとめていこうかと思っていましたが、人が書いたものを翻訳してまとめていく作業がめんどくなってきたので、私が色々読んできてここまででわかったことを、まとめてしまおうと思います。 マテリアルフェミニズムとはnew-material femin…

「新しいマテリアル・フェミニズム」関連文献紹介3 「イントロダクション:フェミニストセオリーにおけるマテリアリティのモデルの登場」(ステイシー・アライモ&スーザン・へクマン)の後半部分の概要

ytakahashi0505.hatenablog.com Alaimo, Stacy & Heckman, Susan, ed., 2008, Material Feminism, Indiana University Press. https://amzn.to/4oDC7he 「イントロダクション:フェミニストセオリーにおけるマテリアリティのモデルの登場」(ステイシー・ア…

「新しいマテリアル・フェミニズム」関連文献紹介2 「イントロダクション:フェミニストセオリーにおけるマテリアリティのモデルの登場」(ステイシー・アライモ&スーザン・へクマン)の前半部分の概要

ytakahashi0505.hatenablog.com Alaimo, Stacy & Heckman, Susan, ed., 2008, Material Feminism, Indiana University Press. https://amzn.to/4oDC7he 「イントロダクション:フェミニストセオリーにおけるマテリアリティのモデルの登場」(ステイシー・ア…

「新しいマテリアル・フェミニズム」関連文献紹介1

新しいマテリアル・フェミニズムに関しては、今のところ3つの論文集が出ています。 1) Alaimo, Stacy & Heckman, Susan, ed., 2008, Material Feminism, Indiana University Press. https://amzn.to/4oDC7he 2) Coole, Diana & Frost, Samantha, 2010, New …

フェミニストセオリーの立場からの人新世の社会学において重要なナッシュの『自然の権利』まとめ

ロデリック・F・ナッシュの『自然の権利––環境倫理の文明史』(ちくま学芸文庫)がフェミニストセオリー的人新世の社会学において重要文献だと感動しているので、概要をまとめます。 https://amzn.to/4kj0XQj 本書は、「権利」についてのイギリス・アメリカ…

リサ・ブラックマン『インマテリアル・ボディズ』第1章の要約−情動論的転回とは何か

ボディースタディーズを牽引しているロンドン大学ゴールドスミス校のリサ・ブラックマンによる非物質的に身体を論じるというプロジェクトをまとめた本です。 例のごとく、私がこれ重要だなと思ったところを中心に意訳し、概要をつかむことを目指します。 Imm…

リサ・ブラックマンの『インマテリアル・ボディーズ』の序章の要約−情動論的転回とは何か?

ボディースタディーズを牽引しているロンドン大学ゴールドスミス校のリサ・ブラックマンによる非物質的に身体を論じるというプロジェクトをまとめた本です。 例のごとく、私がこれ重要だなと思ったところを中心に意訳し、概要をつかむことを目指します。 Imm…

ナオミ・ウルフ(2012=2014)と新しい唯物論フェミニズム

ところで、ナオミ・ウルフ(2012=2014)読まれました? 書名だすと通報される可能性があるので書きませんが。私は今、大学生の性調査を並行してやっているところなので必読文献の一つとして読んだのですが、思わぬ収穫あり。意外にもここで「あぁ新しい唯物…

日本の唯物論フェミニズム(マルクス主義フェミニズム)受容の盲点:ヘテロセクシズム批判という文脈の抜け落ち

マルクス主義フェミニズムとは、1970年代から80年代に登場してフェミニズム理論を形成した一つの思想潮流で、「性支配」の物質的基盤(下部構造)の分析を重視する立場を特徴とする。物質的基盤(下部構造)分析は、おもに経済学的・政治的制度の分析になる…

ANTや新唯物論によって、社会学理論はどう更新されうるのか:その方向性について

1. 新唯物論とかANTとかをざっくり読みつつ思っているのだけれど、考えるべきは、これらを社会学に持ち込むことで、社会学理論はどう更新されるのか?だ。 例えば、主体/社会構造が循環的にお互いを構成しているというギデンズ流(構造化理論)の「主体/…

フェミニストたちの言う新唯物論について2: ブライドッティ『ポストヒューマン』(2013=2019)第1章まとめ

本ブログ筆者・高橋が、「ポスト」フェミニズムや「ポスト」ヒューマニズムを重視するのは、「ポスト」以下にくっついている「フェミニズム」や「ヒューマニズム」の思想を、新しい時代や社会の状況を踏まえて、練り直す必要があると考えているからです。(…