論文紹介
ytakahashi0505.hatenablog.com からの続きですが、本記事だけ読むこともできます。読んでいる本はこれです。 個人単位の私的所有から社会的所有へ <コモン>とは社会的富の共同統治を目的とするものである。したがって、<コモン>の議論は、個人が持って…
親密なパートナーからの被支配感は「(異性愛)男性」の方が「(異性愛)女性」より高いが、 「それは精神的健康に影響しにくい」(p.137)という研究結果が重要な気がしたので、メモ+紹介。 被支配感は次の尺度で測定されています。 上野淳子, 2021,「<研…
" data-en-clipboard="true"> 最近また読み直したので、まとめておこうかなと思い立ちました。ページ数は木鐸社版の『情熱としての愛』(2005、佐藤勉・村中知子訳)です。 1.ゼマンティク分析とは " data-en-clipboard="true"> ルーマンがこの本でやって…
個人的に面白かった点や「発見!」だった点を中心に(というか、ほぼそこだけを)まとめます。 大塚さんが分析対象にしている『主婦の友』というのは、戦前から発行し続けている女性三大誌の一つで、最も庶民性(ポピュラリティ)が強く*、最も売れていた雑誌…
1. ytakahashi0505.hatenablog.com 前回、ノッターさんのご著書を論点整理しながら、欧米のプロテスタントたちが確立した狭義の意味での「ロマンティック・ラブ」が日本において成立したことはなかったということを論じてきました。 今日は、その狭義の意…
1. ytakahashi0505.hatenablog.com の続きです。 とりあえず、アメリカの疾病対策予防センター(center for disease control and prevention, CDC)のnational center for health statistics(NCHS)がやっているNational Survey of Family Growth(NSFG)の…
2022年11月25日追記 こちらで紹介した論文の最新データが出ています。 https://bedbible.com/sex-frequency-statistics/ こちらがオリジナルデータとなります。ご参照のさいは、こちらをお使いください。 1.概要 性行動の不活発化は、アメリカでも起こって…
1.近代的主体を構成する原理としてのロマンティックラブ かの有名なプロ倫(『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』)にオマージュを捧げつつ、「プロテスタンティズムの倫理とロマンティックラブの精神」を、現在語るべきだという話をしたいと思…
ytakahashi0505.hatenablog.com ( 一応続きだけど、内容的には上記を読んでなくても分かるようになってます。つまり、あんまりつながってない。) 1. 現代の承認欲求について主題的に扱っている本として、 山竹伸二, 2011, 『「認められたい」の正体:承…
承認欲求について喋った回の内容を書いておきます。 1. とりあえず、承認欲求はマズローらパーソナリティ心理学によって、こう整理されてきました。(下図は『心理学』有斐閣、2013、p.194より引用) 下位の欲求が満たされることで、より上位の欲求が湧い…
合意形成プラットフォームvTaiwanのような仕組みで、現在のフェミニズム的議題をめぐる布置のようなものを描けたら面白いなと思った。 vTaiwanの仕組みの詳しい説明として、こちらがわかりやすい。 https://note.com/a28szk/n/n0c23db878c48 他のSNSと同じよ…
私の「女性の性的主体化形式」に関する論文の引用文献のうち、オンライン上で読めるものと、その場所をまとめました。 American Psychological Association. (2007). Report of the APA task force on the sexualization of girls, Zurbriggen, Eileen L., C…
(ふわっとした前置き長めです) ラディカルフェミニズムは、現代社会の「男性による女性支配」や「男社会」は性的なもの(セクシュアリティ)を通して完成しているのだと言いました。たしかに、女性を性的対象として捉えたり扱ったりするときには、人や場合…
ジェンダー論の教科書として、こういう論点がまとまっているものがあればいいのに、と思っていたのだけれどなかったので、自分でレジュメつくった。(2019年度にやった「身体文化論」の授業レジュメのいくつかを公開します) 1.売買春をめぐる現在の世界の…
マルクス主義フェミニズムとは、1970年代から80年代に登場してフェミニズム理論を形成した一つの思想潮流で、「性支配」の物質的基盤(下部構造)の分析を重視する立場を特徴とする。物質的基盤(下部構造)分析は、おもに経済学的・政治的制度の分析になる…
三浦玲一, 2013, 「ポストフェミニズムと第三派フェミニズムの可能性:『プリキュア』、『タイタニック』、AKB48」, 三浦玲一・早坂静編著『ジェンダーと「自由」:理論、リベラリズム、クイア』彩流社: 59-79. 1.「新しい左翼」の模索の延長線にあるポス…
1. 新唯物論とかANTとかをざっくり読みつつ思っているのだけれど、考えるべきは、これらを社会学に持ち込むことで、社会学理論はどう更新されるのか?だ。 例えば、主体/社会構造が循環的にお互いを構成しているというギデンズ流(構造化理論)の「主体/…
本ブログ筆者・高橋が、「ポスト」フェミニズムや「ポスト」ヒューマニズムを重視するのは、「ポスト」以下にくっついている「フェミニズム」や「ヒューマニズム」の思想を、新しい時代や社会の状況を踏まえて、練り直す必要があると考えているからです。(…
1. ジェンダー、フェミニズム領域において社会構築主義は意義深いものでした。「男/女」という性別をジェンダー(歴史的文化的に構築されてきた性差)とセックス(生物学的性差)に分け、前者を問題にするという形で、性別の脱自然化( denaturalized )…
Stéphanie Genz and Benjamin A. Brabon, 第1版 2009年、第2版 2018年,Postfeminism: Cultural Texts and Theories の(『ポストフェミニズム:文化的テキストと理論』)中の 第4章 "Girl Power and Chick Lit" (「ガールパワーとチックリット」)の要約翻…
Sex is Power Scale(SIPS)というのがありまして、これ重要な気がしています。詳しくいうと、「自分の性は力の源泉だ」(Self-sex is Power Scale(S-SIPS))と「女性一般の性は力の源泉だ」(Woman-sex is Power Scale(W-SIPS))の二つに分かれています…
Mindy J. Erchull & Miriam Liss, 2014, "The Object of One’s Desire: How Perceived Sexual Empowerment Through Objectification is Related to Sexual Outcomes", Sexuality & Culture 18:773–788 (=「誰かの性的客体となること:性的客体化を通した性…
本日の日本女性学会のMLでも、男性役割についての議論が回ってきていますね。 心理学は性別役割についてかなり長いこと(1960年代の英語圏で最初の盛りあがりを見せた)、細かく分節化し、経験的に測定して、議論してきているので、もっとここらへんの知見を…
David Cotter, Joan M. Hermsen, Reeve Vanneman, 2011, "The End of the Gender Revolution? Gender Role Attitudes from 1977 to 2008", American Journal of Sociology, Vol.117:259-289. 本文はここから入手できます http://www.vanneman.umd.edu/papers…
Pamela Aronson , 2003, “Feminists Or “Postfeminists”?Young Women’s Attitudes toward Feminism and Gender Relations”, Gender & Society 17(6):903-922.(本文はインターネット公開されていないので、お近くの大学図書館で。) 高橋によるこの論文の簡…
Yang, G. (2016). Narrative Agency in Hashtag Activism: The Case of #BlackLivesMatter. Media and Communication, 4 (4), 13-17. ( https://repository.upenn.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1500&context=asc_papers ) アブストラクト ハッシュタグ…
today.yougov.com YouGovの調査は、毎年だいたい「あなたはフェミニストですか?」という問いに対してYes/No/Not Sureの3つで答えさせています。 その調査によると、2016年よりも2018年の方がアメリカ人のフェミニスト率は増えているという結果がでています…
www.washingtonpost.com ワシントンポストとKaiser Family Foundationが行った国民世論調査によると、女性の60%、男性の33%がストロングフェミニストもしくはフェミニストと答えているらしい!多い! 日本で同様の調査がやられているのを見たことがないけ…
Heywood, Leslie L., 2005, The Women's Movement Today: An Encyclopedia of Third-Wave Feminism, Greenwood.の「ポストフェミニズム」の項目(p.252)の翻訳 https://www.amazon.co.jp/Womens-Movement-Today-Encyclopedia-Third-wave/dp/0313331332/ref=…