フェミニズム、アンチ・フェミニズム、ポスト・フェミニズムの違いを概念化してくれている論文を紹介します。
Ana Jordan, 2016, “Conceptualizing Backlash: (UK) Men's Rights Groups, Anti-Feminism, and Postfeminism”, Canadian Journal of Women and the Law, vol. 28, No. 1:18-44.
https://drive.google.com/open?id=1mh3tR2DEYSxwIq9tBYOBNOsyyOO4dFw4
論文概要: イギリスで最もよく知られている父親権利運動(father’s rights group)である「(Real)Fathers 4 Justice 」(RF4J、2002-)のメンバー9人(男性8人、女性1人)へのインタビュー調査に基づいたフェミニズム/バックラッシュ(アンチ・フェミニズム)/ポスト・フェミニズムの概念化。
ジョーダンは、経験的主張/規範的立場の2つのレベルでわけて、以下のようにまとめているのですが、
私は、「経験的主張」は「現状認識/実践」を区別した方がより分かりやすいと考えるので(カント主義者なので)、規範/認識/実践の3つの次元で整理しています。
表 - 1「フェミニズム」、「アンチ・フェミニズム」、「ポスト・フェミニズム」の違い(Jordan (2016)を参考に高橋が作成)
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アンチ・フェミニズム |
ポスト・フェミニズム |
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規範:ジェンダー平等は望ましい目標 |
〇 |
× |
〇 |
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〇 女性が不利益を被っている |
〇 男性が不利益を 被っている |
× ジェンダー不平等はない |
実践:集合的・政治的なジェンダーポリティクスが必要 |
〇 集合的なフェミニズム運動が必要 |
〇 集合的なアンチ・フェミニズム運動が必要 |
× ジェンダーは政治的な問題ではない |
・初出:日本女性学会大会(2018年)報告「『Can Cam』の「めちゃ❤モテ」に見られる2000年代日本のポスト・フェミニズム」(高橋幸)
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その他、Jordan(2016)論文に関するメモ
・インタビュイーの属性:F4JのブランチのRFFJに属する、ホワイト・ブリティッシュで、専門職についている、30代から60代の半ばまでの人たち。。
・バックラッシュ(=アンチ・フェミニスト)的な性質と、ポスト・フェミスト的な態度の人とが混在。バックラッシュの人たちは、フェミの思考法(”The personal is the political”とか)をけっこう取り入れて使っている。
時間ができたら追記します…。