ポストフェミニズムに関するブログ

ポストフェミニズムに関する基礎文献を紹介するブログ。時々(とくに大学の授業期間中は)ポスフェミに関する話題を書き綴ったり、高橋幸の研究ノート=備忘録になったりもします。『フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど :ポストフェミニズムと「女らしさ」のゆくえ』(晃洋書房、2020)、発売中。

【翻訳】Yang, G., 2016, 「ハッシュタグ・アクティビズムにおける語りの主体:#BlackLivesMatterのケース」

Yang, G. (2016). Narrative Agency in Hashtag Activism: The Case of #BlackLivesMatter. Media and Communication, 4 (4), 13-17.

 ( https://repository.upenn.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1500&context=asc_papers

 

 アブストラク

ハッシュタグ・アクティビズムは、社会的・政治的主張とともに、共通のハッシュタグ化されたワードやフレーズやセンテンスがソーシャルメディア上に大量にポスティングされたときに起こる。ネットワーク空間における、これらの相互的に関連するポスティングの一時的な展開(unfolding)は、語りの形式(narrative form)と主体を、彼らに(=主体に)与える。Karlyn Cambellによる#BlackLIvesMatterのケースに対する「修辞的主体(rhetorical agency)」の議論を適用し、本論文はハッシュタグ・アクティビズムのナラティブ・エージェンシーが、語りの内容や社会的文脈だけでなく、語りの形式(ナラティブフォーム)によっても駆動されているということを示す。語りの主体は、共同的で(communal)、発明的で、スキルフルで、変幻自在(protean)だ。

 

 

高橋によるこの論文の紹介:

・この論文のみどころは、デジタル・アクティビズムの「主体」を問題にするところにある。

・これまでのデジタルアクティビズム研究は、ネットワーク化されたつながりという特徴に焦点を当てた(Bennett & Segerberg, 2013)、組織とリーダーシップという問題に関する議論が多かった(ゲルバウド2012)。フラットな組織が特徴的だ、とか。

だが、そのネットワークでなされるナラティブの形式によって立ち上がる「主体」については、無視されてきた(neglected)ので、そこを考察するよっていうのが本論文。