ポストフェミニズムに関するブログ

ポストフェミニズムに関する基礎文献を紹介するブログ。時々(とくに大学の授業期間中は)ポスフェミに関する話題を書き綴ったり、高橋幸の研究ノート=備忘録になったりもします。『フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど :ポストフェミニズムと「女らしさ」のゆくえ』(晃洋書房、2020)、発売中。

【翻訳】Gill, Rosalind, 2007, 「ポスト・フェミニズム・メディアカルチャー:感受性の要素」

ポスト・フェミニズムとかポピュラー・フェミニズムのあたりの研究だと、やっぱりカルスタをフェミニズムの立場から担ってきた大御所Angela McRobbie(1951-)がよく引かれるのですが、

次世代(60年代生まれ世代)の重要論者の一人は、Rosalind Gill(1963-)ではないでしょうか。主体性、アイデンティティの立場から新自由主義を捉えるという立場の議論をしています。

 

Gill, Rosalind, 2007, ”Postfeminist media culture: elements of a sensibility”, European journal of cultural studies, 10 (2):147-166.

「ポスト・フェミニズム・メディアカルチャー:感受性の要素」

本文はここから入手できます: https://www.ssoar.info/ssoar/bitstream/handle/document/22715/ssoar-eurjcultstud-2007-2-gill-postfeminist_media_culture.pdf?sequence=1

 

アブストラクト ~~翻訳~~

 ポスト・フェミニズムという概念は、フェミニスト・カルチュラル分析の最も重要な語彙のひとつになっている。しかし、ポスト・フェミニズムが何かということについての合意は、ほとんどない。この論文は、ポスト・フェミニズムとは、相互に連関したいくつものテーマから作り上げられる、あるきわだった「感受性sensitivity」だと考えると、最もよく理解できるということを論じる。

 

 相互に関連したいくつものテーマは、「女性性」とは身体的特性(bodily property)ーーすなわち客体化から主体化へのシフト、自己監視、自己管理、個人主義、選択、エンパワーメントへのフォーカス、克服パラダイムの支配、性の自然な違いという考え方の復活など――であるいう概念(notion)を含んでいる。

 

 それぞれのテーマを、現代的なアングロ・アメリカン・メディアの事例を用いながら、詳しく探求する。これらの概念(idea)のパターン化された接合がポスト・フェミニズムの感受性を作り上げている。

 

 また、この論文は、このような感受性と現代の新自由主義との関係を論じる。

 

~~翻訳ここまで~~