ポストフェミニズムに関するブログ

ポストフェミニズムに関する基礎文献を紹介するブログ。時々(とくに大学の授業期間中は)ポスフェミに関する話題を書き綴ったり、高橋幸の研究ノート=備忘録になったりもします。『フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど :ポストフェミニズムと「女らしさ」のゆくえ』(晃洋書房、2020)、発売中。

【研究計画】石巻圏域居住者へのワークライフバランスに関するインタビュー調査

公益財団法人石巻地域高等教育事業団からの助成金であるIK研究の助成に採択されました。以下の研究を今年度、実施する予定です。該当する方で研究に協力してくださる方を大募集中です。インフォーマントの紹介もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

研究テーマ:石巻圏域居住者へのワークライフバランスに関するインタビュー調査
        
研究目的
 石巻圏域定住自立圏で子育てしながら家族生活を行っている人々へのインタビュー調査を通して、「家族生活と仕事」に関する人々の希望と現状の落差を明らかにし、石巻圏域の実情に即したワークライフバランス実現のための政策提言を目指す。
 石巻市東松島市、女川町は石巻圏域定住自立圏形成協定を結び、人々の生活保障と人口の安定化を目指してきた。しかし、同圏域の人口流出はいまだ止まず、中心市である石巻市合計特殊出生率は低位にとどまり(全国1.38、石巻市1.37)、第一子出産年齢は全国平均と同程度に遅れ、第二子以降の出生数も伸び悩んでいる。
 近年の日本では、親(自身の親・配偶者の親を含む)が近くに住んでいる人ほど有子・多子率が高い傾向が確認できる。石巻圏域は、三世代同居率や親の近居率が比較的高いが、その強みを生かし切れていない。その原因の一つに、親世代と子育て世代間での性別役割に関する規範意識の違いやアンコンシャスバイアスがあると考えられる。そこで、本研究では「満足度の高い家族生活」の実現を阻害している要因を、おもに性別役割規範との関連で分析しながら、家庭および職場のアンコンシャスバイアスの解消に向けた提言を目指す。
              
研究計画
 調査対象者:石巻圏域に居住し家族で生活した経験を持つ20代から50代の女性、数名(応募状況に応じてサンプル数を確定する予定)。とくに、三世代同居や親近居で子育てを行っている女性を主な調査対象としつつ、未婚女性や新たに石巻圏域に移住して子育てしている家族も調査対象とすることで比較検討を行う。
 また、調査に協力して下さった女性のパートナー(今回は「男性」を想定)や、本研究に関心を持つ男性(20代から50代)、外国人家族の女性とそのパートナーにも一定数を割り当ててインタビューサンプルとすることで、石巻圏域での「家族生活と仕事」に関する多様な意見を把握できるよう努める(※)。
 ※共同研究者の西川はインドネシア研究を専門としており、近年石巻地域への移住が増えているインドネシア人家族への母語でのインタビューが可能である。また中国文学を専門とする輪田は、中国語圏出身者へのインタビューが可能である。外国人家族をも想定した移住者包摂的な子育てサポート政策は、多文化共生の観点から見ても重要課題であり、本研究課題は共同研究の形を取るのが最も適切である。数年間の継続的な共同研究を想定しており、本調査はその一年目に当たる。
 調査項目:①家庭生活において女性が日頃感じている問題(人間関係上の問題も含む)、②女性自身が職場で経験した問題、③配偶者の仕事に対する女性の考えや希望の3つの論点を中心にうかがいながら、生活時間調査を行う。調査方法は半構造化インタビュー法。一人当たり1~2時間×2回を基本とし、状況に応じて対応する。