1. ytakahashi0505.hatenablog.com の続きです。 とりあえず、アメリカの疾病対策予防センター(center for disease control and prevention, CDC)のnational center for health statistics(NCHS)がやっているNational Survey of Family Growth(NSFG)の…
1. 新情報を提供するタイプの文章ではなく、ある程度知られていることに関して「論じる」ようなタイプの文章を世に出すときって、「書き手である私はこのことについてはよく知ってますから、これだけ見てますから、ここまで考えて書いてますから」というの…
2022年11月25日追記 こちらで紹介した論文の最新データが出ています。 https://bedbible.com/sex-frequency-statistics/ こちらがオリジナルデータとなります。ご参照のさいは、こちらをお使いください。 1.概要 性行動の不活発化は、アメリカでも起こって…
1.近代的主体を構成する原理としてのロマンティックラブ かの有名なプロ倫(『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』)にオマージュを捧げつつ、「プロテスタンティズムの倫理とロマンティックラブの精神」を、現在語るべきだという話をしたいと思…
エヴァ解釈の話。 ytakahashi0505.hatenablog.com 私は前回のエントリーで、「人類補完計画は、人類の融合と性的「融合」(セックスのこと)を重ね合わせて表象されているが、主人公のシンジにはその誘惑をふりはらうことが期待されていた。ミサト、リツコ周…
1. 個人の「自由」の拡大が共有された社会的な「善」になっている現代において、恋愛や性といった「個人的なもの」をめぐる議論は、ますます重要になっている。 再帰性が高まる後期近代論者のギデンズ、バウマン、ベックらが親密性や愛についての論考を書…
最近のロックだったらLAMP IN TERRENがいいですって教えてもらっていたのだが、この数日しっかり聴き、それ以降、打たれてけっこう茫然自失している。 松本大が書く詩の特徴は、「キミ」が具体的な像を結ばないところにある。これは確信的にやっていると思う…
人類補完計画とは何だったのかを考えていたら、男性オタク向けコンテンツにおける「純愛と性欲の間の距離のパトス構造」とでも呼ぶべきものがあるのではないかということに思い至りましたが、とりあえず、ずーっと人類補完計画の話で、距離のパトスについて…
ytakahashi0505.hatenablog.com ( 一応続きだけど、内容的には上記を読んでなくても分かるようになってます。つまり、あんまりつながってない。) 1. 現代の承認欲求について主題的に扱っている本として、 山竹伸二, 2011, 『「認められたい」の正体:承…
承認欲求について喋った回の内容を書いておきます。 1. とりあえず、承認欲求はマズローらパーソナリティ心理学によって、こう整理されてきました。(下図は『心理学』有斐閣、2013、p.194より引用) 下位の欲求が満たされることで、より上位の欲求が湧い…
合意形成プラットフォームvTaiwanのような仕組みで、現在のフェミニズム的議題をめぐる布置のようなものを描けたら面白いなと思った。 vTaiwanの仕組みの詳しい説明として、こちらがわかりやすい。 https://note.com/a28szk/n/n0c23db878c48 他のSNSと同じよ…
ネオリベとか新自由主義という言葉は、近年グローバリズム批判と政権批判のさいによく聞くワードですが、バズワードと化しているところがあります(なぜバズワードになっているかというと、端的に言ってしまえば、広義の意味での左翼は、マルクス主義が凋落…
*某フェミニズム研究会で拙著の検討会をしていただきました。その時に出した著者解題をアップしておきます。 著者解題 高橋幸『フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど:ポストフェミニズムと「女らしさ」の行方』(2020、晃洋書房) 概念整理 ポ…
1980年代のフェミニズムによるポスター批判運動がどのようなものであったのかについては、『ポルノ・ウォッチング:メディアの中の女の性』(1990、行動する女たちの会)を読むとよくわかります。 この本は、大変ユーモアにあふれています。怒りで動いてはい…
私と同年代の30代くらいの男性は、けっこう家事育児をやっているという話をよく聞くようになりました。そのことを統計的に実証している論文があったので紹介。 渡辺洋子(2016)「男女の家事時間の差はなぜ大きいままなのか─2015 年国民生活時間調査の結果…
1.「差別」とは何か日常語として理解されている「差別」とは、「相手の属性に対する偏見ゆえに、相手を低く評価したり相手をおとしめたり、社会的待遇を変えたりすること」くらいの意味だろうと思います。 ただし、社会科学においては「差別」という語は、…
#シンこれフェミ 当日に使うかもしれない参考資料たちです。 1.赤十字社とオタクの関係に関する全体的なざっくりした流れ 日本では、1969年に売血が終了。以降、日本では売血は禁止。献血の「記念品」として、クオカードや図書券が渡されていた時期もあっ…
1.認識レベルの不正義 websekai.iwanami.co.jp 上記の小宮論考は、私たちがいま使っている言語体系や思考枠組みにおいて、女性に対する暴力や抑圧を言い表す言葉が不十分であるという「認識的不正義」があるということを論じたものです。 ・小宮さんが「コ…
#シンこれフェミをやる目的(高橋の理解)
1. 社会における表現の問題に関しては、「規制すべきか否か」をバトっていても、あまり意味はありません。「表現の自由」と「人権保障」の対立が起こったときに本当に議論すべきことは、表現のインフラを具体的にどう設計していくのか(既存の制度のどこを…
90年代後半に、国及び地方自治体の行政機関における広報ガイドラインが策定され運用されてきた経緯がざっくりとまとめられている論考として、ジェンダーの観点からメディア論研究をしてこられた大家・諸橋先生の以下のような論考があります。 www.koho.or.jp…
wezz-y.com 1.「わいせつ/性差別」の区別は重要 まず、堀さんは「わいせつ」と「性差別」を区別されています。これ重要です。 堀さんの議論によると、性器表現などの「わいせつ」は法規制されてきたが、フェミニズムにとっては「わいせつ」を規制すること…
1.自己紹介 #シンこれフェミ にご関心を持っていただきありがとうございます。 私、高橋幸は、フェミニズムを研究している人間です。 アカデミックの世界に15年くらい住んでいる関係で、 日本の学的なフェミニズムで、「だいたい」どんなような議論がなさ…
坂爪さんのコーディネートで、青識さんと討論会をします。 高橋が出ていく理由 1、坂爪本に良い意味で煽られたため:坂爪さんの今回の新刊本『「許せない」がやめられない』(2020)に煽られたところが一番大きいです(笑)。 坂爪さんは、今回さらに新しい…
私の「女性の性的主体化形式」に関する論文の引用文献のうち、オンライン上で読めるものと、その場所をまとめました。 American Psychological Association. (2007). Report of the APA task force on the sexualization of girls, Zurbriggen, Eileen L., C…
(ふわっとした前置き長めです) ラディカルフェミニズムは、現代社会の「男性による女性支配」や「男社会」は性的なもの(セクシュアリティ)を通して完成しているのだと言いました。たしかに、女性を性的対象として捉えたり扱ったりするときには、人や場合…
「母性空間」からの脱出、そのための新たな愛の関係とは ――宇野常寛著『母性のディストピア』(集英社2017、早川書房2019)書評――*1) 本書の主題 本書は、マンガ・アニメ作品読解を通して現代日本社会を論じる文芸評論家・宇野常寛の評論集である。世界で…
Alison Piepmeier, 2006, “Postfeminism vs. the Third Wave“ Electronic Book Review, March 17, 2006, の内容を紹介しつつ、私が第三波とポスフェミの違いをどう同定しているかを書いておきまーす。 electronicbookreview.com 第二波フェミニズムから自分…
1 Twitterですでに呟いたのですが、『やがて君になる』(原作2015-2019、アニメ2018)が素晴らしい。 アニメ放映が2018年10月-12月で、これは『色づく世界の明日から』(2018)や『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』(原作2014‐、アニメ2018)と…
実は、私は一時期「もう研究者になるのムリかも、正規ポスト得られなさそう、物書きとして生きていこう」と思っていた時期があって、その頃、『群像』の新人評論賞に応募したことがありました。30代中盤、2010年代のこと、応募したのは2018年春のこと。 群像…